
米国時間1月31日、ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官がメキシコとカナダの商品に2月1日から25%の関税を課すことを発表した。これに対し、ウォールストリート・ジャーナルは、米国が「敵」は避けたいが、「友人」は危険というジョークを引き合いに出し、トランプ氏の主張する自給自足の必要性に触れつつ、貿易戦争が愚かな結果を招く可能性を報じた。
ニューヨーク・タイムズは、アジアや欧州のメーカーが北米サプライチェーンに数十億ドルを投入していることを指摘し、関税発表により多国籍企業がリスクに直面する懸念を示した。特にメキシコにはドイツのアディダスやフォルクスワーゲン、韓国のサムスンや現代、日本のトヨタやホンダ、スイスのネスレなどが進出しており、関税によって影響を受ける可能性が高い。
トランプ氏は、メキシコとカナダからの輸入に25%、カナダからのエネルギーに10%の関税を設定。これにより多くの企業は活動に支障をきたす可能性がある。ピーターソン国際経済研究所のメアリー・ロフリー氏は、トランプ氏が貿易協定を破棄することにより企業が方向性を見失う危険性を指摘した。
日本の企業もメキシコでの製造を行っており、彼らはトランプ氏の関税政策に対し懸念を示している。アジア開発銀行のアルベルト・パーカー氏は、トランプ氏の関税はサプライチェーンの再構築を目指したが、今では調整した国を罰する結果になっていると述べた。
企業が米国への工場移転を決断するのは簡単ではなく、コストや労働力不足が大きな障害となっている。トヨタやマツダの米国工場では労働力不足の問題が顕在化している。デマレイ氏は、企業はトランプ政権の終了を待つため、保守的な姿勢をとる可能性が高いと指摘した。企業は生産施設の移転には多くの投資と時間がかかることを理解しており、将来の政策の不確実性から慎重になるだろう。
このように、トランプ政権の影響が企業の戦略に与える影響が顕著になっている。企業は新たな貿易のトレンドを意識しながら、次の動きを模索している。